昨日報道された「YKK AP」、「新日軽」、「不二サッシ」の3社が、国の耐火基準を満たさないサッシを出荷していた問題で、YKK APのサッシ・エピソードを標準品として使用している黒柳建設も該当するお客様の特定、対応策をメーカー、住宅資材会社と協議しています。

社団法人 カーテンウォール・防火開口部協会が認定を取得している防火設備(防火戸)に関する国土交通省からの公表案件について(YKK AP株式会社)2011年3月9日

一昨年にエクセルシャノン、三協立山アルミ等のサッシ耐火性能不足が判明し、最近ではトステム等が国土交通省から防火性能不足の指摘を受けました。

防耐火個別認定仕様と異なる仕様の樹脂サッシ(防耐火グレード)を販売した件について(株式会社エクセルシャノン)2009年1月28日

社団法人 カーテンウォール・防火開口部協会が認定を取得している防火設備(防火戸)に関する国土交通省からの公表案件について (トステム株式会社)2011年1月28日

今回、YKK AP、新日軽等の防火性能不足が発覚したことで、業界大手5社の全てが不適合ということになってしまいました。
現在該当するサッシを取り付けたお客様宅の特定を進めておりますが、解っているだけでも20棟程がピックアップされています。報道とメーカーの発表で多少内容が食い違っているので、さらに調査を進めているところです。
お引渡し済みのお客様に対してはこれから対応策を決めて1軒1軒ご連絡致します。


そもそも、なぜ大手5社全てが防火性能不足となってしまったのかということですが、そこには業界の馴れ合いと言うか、国との暗黙の了解と言うか、空気読んだ的な部分があります。

防火戸のサッシは社団法人「カーテンウォール・防火開口部協会(カ防協)」が国から国土交通大臣認定を受け基準認定を取得し、会員の各メーカーがその仕様に則って製品を設計しカ防協に登録申請、審査済み証の交付を受けています。
各メーカーが個別で大臣認定を申請せずにカ防協がまとめ役となって基準の認定を受けていたことを、業界の馴れ合いと呼ぶか同業同士の協力と見るかは立場によって異なります。
各社独自に全てのサッシに対して大臣認定を取得するには大変な費用と時間が掛かり、その費用は基本的に商品の金額に跳ね返ってきます。それよりも関連企業が協力して共通の基準を作り、共通基準で認定を取れば個々のコストやリスクは軽減されます。

ここで問題となるのが大臣認定を取得する際の試験用供試体と、実際に販売されている商品では仕様が異なっているという点です。
サッシに限らず、例えば車や家電などでも試験用と実際に売られている商品では大小ありますが性能が違います。いわゆるカタログスペックです。

例えば車の燃費性能試験では、試験用に軽量化などカスタム化した車をプロのドライバーが最適な速度とハンドルワークで試験用のテストコースを走ります。そのため実際ではありえないような燃費がカタログスペックとして表示され、ユーザーもある程度そのことを承知済みで判断の基準としているところがあります。

国や監督省庁は本来ならば是正指導をする立場なのですが、申請に上がって来ている試験体は基準を満たしているので、後はわれ関せず、各メーカーの責任ですよ、と言った態度を取っていました。
この一連の流れをメーカー、カ防協、国土交通省の3者が「空気を読んで」守ってきたのですが、一昨年のエクセルシャノンの事例をきっかけに個々のメーカーの実売商品に対しても調査が入り、発覚に至ったのです。
実際、あるサッシメーカーの担当者は「試験のやり方が変わった。あれじゃあ今の仕様では絶対に通らない」と言っていました。

ここで納得できないのは、なぜ今頃?と言う点です。
一昨年のエクセルシャノン耐火偽装発覚の段階でカ防協と各メーカーの関係を国は知らなかったはずはなく、その時点で他メーカーにも調査を命じることができたはずです。
あれから2年以上もこの問題を放置していたのか、それとも報告を鵜呑みにしていたのか、理由は定かではありませんが少なくとも理解を得られる理由では無いように感じます。
もちろん、最終的な責任は各サッシメーカーにあり、トステムやエクセルシャノン等既に耐火性能不足が発覚したメーカーはその責任を取るべく多大な改修費用を負担し、YKK APもそうすると表明しています。
家は何万という数の部品(パーツ)から出来ており、その全ての性能を我々のような小さな会社が調べることは実際不可能です。そのため、各メーカーのカタログを参考に、また国の認定を基準に最適な部品を選び家を建てています。

しかし、その中でメーカーが性能を偽装し、国もそのことを知りつつ黙認していたのでは我々は何を信じて家を建てたら良いと言うのでしょうか。
一体大臣認定とは何のために存在するのか、国が監督指導責任を果たしていないツケを我々や最終的にはお客様がなぜ被らなければならないのか。
この件に関して国は責任を認めることはないでしょう。自分たちの監督不足を棚に上げ、責任をメーカーに、対処を工務店に回して、「我々も騙されたのだ」と言わんばかりのやり方には正直怒りを通り越して呆れてしまいます。
しかし我々には知らなかったとは言え、防火性能の不足しているサッシを取り付け、法律上適合していない家を建てたという責任があります。
また、高気密高断熱の家づくりには開口部の熱損失を抑える樹脂サッシ、アルミ樹脂複合サッシがどうしても必要です。「防火性能」のみに囚われ断熱サッシの普及が遅れてしまうと、日本の住宅はエネルギーの浪費が改善されないままになってしまいます。今後対応に追われるとは思いますが、関係各社の奮起に期待しています。


黒柳建設は今後、該当するお客様には出来る限り速やかに、お客様にご安心して頂けるよう対応策を進めていきます。ご心配をおかけしてしまい大変申し訳ありません。皆様のご理解ご協力をよろしくお願い致します。